1 身近なバリアフリー重点整備地区
バリアフリーとは、障害のある人々が地域で安心してくらせる社会づくりを目指し、様々な障壁(バリア)を取り除こうという考え方,あるいはそのためのインフラを示す。今回,私が紹介するのは2012年(平成24),前任校の前橋商業高校で行った,「生徒のバリアフリーに関する空間認識を高めるための授業実践」である。
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(1)前任校はバリアフリー重点整備地区だった
前任校の群馬県立前橋商業高等学校は,両毛線JR前橋駅の南750mの地点に位置している。学校所在地の前橋市では,2006年12月のバリアフリー法施行以来,市中心部でバリアフリー化を推進させているが,実はこの前任校を含む「駅から半径1km圏内のエリア」が,重点整備地区となっている。
※バリアフリー法の目的この法律は、高齢者、障害者等の円滑な移動及び建築物等の施設の円滑な利用の確保に関する、施策を総合的に推進するため、主務大臣による基本方針並びに旅客施設、建築物等の構造及び設備の基準の策定のほか、市町村が定める重点整備地区において、高齢者、障害者等の計画段階からの参加を得て、旅客施設、建築物等及びこれらの間の経路の一体的な整備を推進するための措置等を定めることを目的としています。 |
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(2)群馬県内初のエスコートゾーン
とくに近隣には盲学校,聾学校など特別支援学校があるため,地区内の学校や大型商業施設を結ぶ道路に沿って,点字ブロックによる横断補助設備「エスコートゾーン」が県内初の事例として整備されている。
下の写真は,前任校からJR 前橋駅までの間の写真である。学校を出てすぐの場所から点字ブロックの設置が行われており,前橋商業高校からJR前橋駅までの導線が確保されていることが確認できる。
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JR前橋駅のプラットフォーム
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(3)駅構内まで続くシームレスなバリアフリー
JR 前橋駅についてからも,その構内の中にも点字ブロックの設置が,券売機,改札口,階段やエレベーター,そしてプラットフォームまで続いており,前橋商業高校からの導線がシームレスに確保されている。駅校内の点字ブロック設置も,現在では別段珍しいことではないが,学校からの導線とリンクされていることを考えると,「重点整備地区内のエスコートゾーン」の存在理由を改めて認識することができる。
駅入り口 駅入り口のスロープ 券売機前 券売機
券売機から改札口 改札口 エレベーター 車いす補助装置つき階段
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ただ一方で,前任校の生徒達の中には,身近な所にそうしたシームレスな「人にやさしい街づくりの工夫」があることをはっきり自覚できている者はあまりいなかった。そこで私は是非,生徒達に「身近なバリアフリーの空間認識」を促しそう考え,2年生の全クラスを対象に,一時間だけの特設授業を行った。 |