B地理Aでヨーロッパを教える

 

 
 

      Nicolaus Copernicus

     ( 19 February 1473 – 24 May 1543)

  • ヨーロッパを教えるコンセプト

  • 2.(1)ヨーロッパの位置や広がり

  • (2)食文化と農牧業の地域性

  • (3)@住居の地域性

  • A居住空間の地域性

  • (4)文化的多様性

  • 3.一つのヨーロッパへ

1 ヨーロッパを教えるコンセプト

 新編地理Aの内容に沿って,「ヨーロッパ地誌」の授業を組み立てていく場合,そのポイントは,多くの地域的差異を抱えながらも,それらを止揚して,「一つのヨーロッパ」にまとまろうとする現在のヨーロッパの姿を大観させることである。

 つまりヨーロッパ域内には,実に色々なバリエーションの生活様式と,その背景としての様々な自然環境がある。また人口や産業,富の偏在も見られる。ただ一方では,多くの人々がインド=ヨーロッパ語族でラテン文字を使い,キリスト教徒という共通性も根底に抱えている。「共存のための壮大な実験」に立ち向かう今のヨーロッパが,そうした複雑な両面性をもつことを生徒に理解させるのが最も重要な点である。

 今回は,この州,大陸規模の地域である「ヨーロッパ」について,それを扱うときに有用なツールとしてどのようなものがあるのか,またそられのツールの効果的な活用法としてはどのような方法が考えられるのかの提案をしていきたい。

2 ヨーロッパの生活様式の多様性

 (1)ヨーロッパの位置や広がりを把握させる

 前述したようなコンセプトでヨーロッパを扱う時,前提となるのは,地域的差異の背景となる「位置と広がり」を正しく生徒に概観させることである。

 ただし現在,「ヨーロッパの位置や広がり」についての明確な定義は存在しない。たとえばトルコが,ヨーロッパに属するのか,アジアに属するのかという点でさえ,様々な見解がある。したがって私は,ヨーロッパの位置と広がりについては,地形的には,ユーラシア大陸の西端に位置する半島であることと,北,西,南を大きな水域により,東をウラル山脈により区切られた陸地である程度をおさえればよいと考える。また絶対位置では,北緯35度から70度強,西経10度から東経60度の幅の広範囲に広がる程度を示すのでよいと考える。もちろんこの点では,言葉だけの説明だけでなく,生徒に地図帳を開かせ, パワーポイントで地形や経緯線をアニメシーョン表示するなどして,対話形式の中で地形や経緯線を確認させるなどの工夫も必要である。

1 GoogleEarth画像(経緯線の入っているもの)のパワーポイントへのペースト

 ※経緯線の「数値」が表示されないように画面を調整して,それをハードコピーするとよい。

 

 

 

 

(1)まず上のようなイメージのパワーポイントコンテンツをつくるには,GoogleEarthを起動させて,自分が図を作成したい地域を描画させる。

(2)その上でまず,GoogleEarthの画面上にある「表示」をクリックして,すぐに表示される「グリッド(経緯緯線)」にチェックをいれる。

 

(3)それができたら経緯線をみて,その地域の範囲の確定に使えそうな,地域をふちどる経緯線をチェックする。そしてそのすべてが画面内に収まるようにGoogleEarthの画面を調整する。これで作業の第一段階が終了である。

 

(4)続いて必要なのは,ハードコピーツールによる「画像の生け捕り(ハードコピー)」とパワーポイントへの貼り付けである。ここでは比較的人気の高いフリーソフトWinShotを例に説明する。サイトでWinShotの名前で検索すればすぐに入手サイトにアクセスできるので,そこからダウンロードすればよい。

  

(5)Winshotを起動すると,パソコンの下に上のようなアイコンが表示されるが,そこにマウスをおいて右クリックすると操作メニューが展開される。大きくハードコピーのパターンはプレビュー表示(画像をJPGファイルで保存するパターン),クリップボードコピーが(簡易なコピー&ペースト)があるがここでは「クリップボードコピー」を選択する。そして中の矩形範囲指定(範囲指定できるパターン)を選択する。あとはGoogleEarthの中の生捕りたい所を範囲指定して,パワーポイント画面に貼り付ければよい。

  

 

 

 

2  地域の範囲にかかわる基準線のトレースと,線の色と太さの調整

(1)続いて,Powerpointの上のツールバーにある「挿入」をクリックし,さらに「図形」→「曲線 」  を 選択して,経緯線のトレースをはじめます。まずは地域を囲んでいる一番外側の経緯緯線(5度で 割れるキレのいい数字のもの)をトレースします。たとえばヨーロッパについては西経10度,東経 60度,北緯70度,北緯35度など「地域の範囲を確定する基準線」をトレースします。なおヨーロッ パについては本初子午線も走っているので必要に応じそれもトレースしていくとよいと思います。

 ※トレースして行くときは,経緯線のまじわっている所にポイントをおいていく要領でやっていきま  す。またトレースが終了する部分で,マウスをダブルクリックしないとラインが確定さないので注  意が必要です。

(2)線が引けたら,ライン上にマウスをおいて「右クリック→図形の書式設定」の所で,線の色や線種を  調整していきます。

 

 

3 経緯線の近くにタイトルを書き込む。

(1)経緯線が描画できたら,続いてはPowerpointの「挿入→テキストボックス」を指定して,直接テキストを入力する。

 

(2)テキストのフォントサイズ,色は,Powerpointの「ホーム→フォント」で調整する。

 

(3)テキストの向きは,テキストの所にマウスをおいて,軽くクリックすると上に丸まった矢印がでてく   るが,そこで調整すればよい。

4 特徴的な地形の名前,ラインの記入

(1)続いては,地域の広がりにかかわるような特徴的な地形(山脈・海洋)について,ライン,地名などをに入力していきます。

 

5 ラインとテキストのアニメーション機能の追加

 

(1)授業コンテンツとしてのPowerpointについては,視覚的効果が得られるようにに,また授業で使う際の説明の順番との対応がとれるように,「アニメーション機能」を付加することが必要です。地図上のライン,テキストはすべてアニメ化します。

(2)アニメ化のサンプルを動画にしたものは,こちらです。またpowerpointファイルのサンプルはこちらです。ラインやテキストを指定したあと,Powerpoint画面の上にある「アニメーション」でアニメ化するとよいと思います。

※とくにラインは,「ワイプ」のパタンで表示させるとクールでかっこいい仕上がりになります。

(2)食文化と農牧業の地域性を考察させる

 

@食文化と農牧業の多様性をイメージさせる

 地理Aの教科書本文ではまず冒頭,パンとワインという身近な食文化から,ヨーロッパの自然環境や農牧業の地域性を考察させようしている。

 ヨーロッパでは,パンは「キリストの体」,ワインは「キリストの血」という特別な存在であり,そのため域内の穀物とブドウの栽培地域は広範囲に及び,結果的にその栽培形態は各地の自然環境の差異を反映したものになっている。つまり各地では気候の寒暖差や,土質の違いに応じて,小麦,ライ麦,燕麦,大麦といった様々な穀物が,またカベルネ・ソーヴィニヨン,カベルネ・フラン,グルナッシュなどの様々な品種のブドウが栽培されている。もちろん名前を羅列するだけでは,パンやワイン,穀物やぶどうなどの多様性を生徒がイメージできるはずはない。したがって授業では,「実物」を見せたり,インターネットから入手した地域性をあらわすマップや画像をパワーポイントで提示するなどして,そのイメージを助ける工夫が必要である。

たとえば左のマップは,Lionel Poilâne氏の著書の中の「フランス各地のパンの地図」という題名のマップである。フランス国内で様々なパンが食されていることを示す。地図の中には,キリスト教文化圏特有の十字をきったパンや,黒パンの画像がみられるが,伝統的にそれが作られている地域に配置されている。これを生徒たちに提示するだけでも,土地の自然環境の違いなどによって,パンの材料,加工方法が違っているのではないかといったことを生徒に推察させることができるのではないかと考える。

パンの材料である穀物については,GRAMANEのサイトなどに大麦,小麦,ライムギなど様々な穀物の紹介がなされている。英文であるが,Google翻訳などで日本語訳して,授業資料として活用するとよいと思われる。

A自然環境の東西性

続いて教科書では,食文化や農牧業の地域差の大きな要因となっている,「域内の東西性と南北性」という自然環境の特性を考察させようとの展開になっている。

まず「気候の東西性」に関しては,教科書のケッペンの気候区分図を使い系統的に扱うことも,基礎的知識の定着という点では重要である。ただこの点でもsat24.comという天気予報サイトなどで,「雲,気温,降水量,風などの推移を示す動画」を提示し,「身近な自然現象」として生徒に教える工夫も必要である。

このサイトではsat24.com,毎日の雲,風,気温,降水分布がシリアルタイムで左のような画像で示されているが,こうしたものを示すことで,ヨーロッパの一年は,北大西洋海流という暖流と偏西風の恩恵で西岸地域が温和な性格なのだということを得心させたり,日々の日常的な気象現象の積み重ねなのだということを考えさせたりといった効果はあると考える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

B自然環境の南北性

さらに営農条件に大きな影響を与える南高北低という「地形」に関しても,私は, GoogleEarthのフライトシュミレーターでヨーロッパを南北に縦断するムービーを見せたり,高度プロファイル機能で断面図を提示するなどして,「南高北低」というヨーロッパの地形全般のイメージをしっかり支援する必要があると考える。

なおこのGoogleEarthによるフライトシュミレーターのムービーの作り方として,私がもっとも簡単とかんがえるのは「パスの追加機能」を使った方法である。

1)

もちろんまずはヨーロッパの地形特徴である「南高北低」をとらえるのにもっとも適しているフライトコースをまず見定めて,ラインを描かなければならない。まずこのためにはGoogleEarthのツールバー上にある「パスの追加」というボタンをクリックして,「新規パス」の小ウィンドウを立ち上げる。

2)

ウィンドウが立ち上がったら,それを作業の邪魔にならないように,画面の脇によせて,ラインを引く。ラインを引くといっても,マウスで始点と終点をカチカチと指定するだけである。この場合は,ヨーロッパの南高北低を生徒にとらえさせることが目的のものなので,イタリア半島のつけねから,ドイツの北側の海岸線付近にかけてラインを引くとよい。ヨーロッパの自然の南北性をつくっているアルプス山脈を貫くコースである。

3)

ラインが引き終わったら,小ウィンドウは「OK」ボタンをクリックして閉じる。

4)

ここでサイドバーを見ると,「無題-パス」が生成されているが,それが確認できたら,その「無題-パス」の所にマウスを置いて,その下にある「ツアーの再生」というボタンをクリックする。するとまもなく「テスト再生」が始まる。

5)

もちろん,ここで再生されるのは,飛行スピード,飛行高度,飛行角度などが調整されていない,そのままでは使えない代物である。この調整作業については,上のツールバーの「ツール」→「オプション」をクリックして,オプションの小ウィンドウを表示させて,そこで高度,角度,飛行速度の所にいろいろと数字を入れてみては,「テスト再生」を繰り返し,ムービーを仕上げていくしかない。

6)

さて,飛行コースの「断面図」を描画する方法であるが,至極単純である。つまり左のサイドメニューの中の「無題-パス」の所にマウスを置いて,右クリック。さらに出てきたメニューの中の「高度プロファイルを表示」をクリックするだけである。

(3)居住の地域性を考察させる

@「住居」の地域性
続いて教科書では,現代では大きく様変わりしてきている人々の居住空間の中心である「住居」も,もともとは食文化や農牧業と同様に,自然資源を活用した建築材で造られ,地域性豊かだったことに気付かせようとの展開になっている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ここでも,各地の伝統住宅や,それらをはぐくんできた自然資源である北ヨーロッパの森林や低湿地,地中海沿岸の大理石採石地,北海沿岸の低湿地などの画像を使い生徒の視覚的理解を促す工夫するとよいが,たとえばGoogleEarthを使い伝統的な住宅群の地域を俯瞰したあと,住宅や自然資源をストリートビューやpanoramioの写真で見せるような工夫も考えられる。

たとえば左の図にあるような地点のストリートビューを生徒に見せる場合には,まず,グーグールアースでヨーロッパ住宅を.kmzをダウンロードして左下ようにGoogleEarthでこのファイルを開く。

そして左下のような画像を描画する。あとは,それぞれの地点を拡大させたあと,右側にある「人型アイコン」をその地点名付近にドラックして,プロットして,ストリートビューモードになるポイントを探すだけである。

 

なおGoogleEarth自体の仕様変更などで,ストリートビューモードにならない場合は(最近そういうケースが多い),まずGoogleEarth左側のサイドメニューの「レイヤ」の中にある「360°cities」のチェックを入れる。

 

そしてそれによって,写真のサムネイルが表示された所を探して, 「360°cities」の画像を探すしかない。

 

A居住空間の地域性

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1)

続いて教科書では,居住空間を見るスケールを一気に「ヨーロッパ全域」に広げていく。つまり域内が,ブルーバナナと呼ばれる人口密度が大きい「中心地域」と,人口稀薄な「周辺地域」の二つに大分され,経済状況や産業に地域的差異があることを考察させようとの展開になっている。まず居住空間がこの二つの等質地域に分かれる点に関しては,たとえば国立情報学研究所が運営するサイト「夜の地球」の画像を生徒に示し,光の明暗で読み取らせる工夫も

2)

またその「夜の地球」の画像によって中心地域の読み取りが完了したら,続いては,EUが運営するサイト「EUROSTAT」のstaticsページに掲載されている様々な指標の主題図と並列し,「中心地域」とは,政治,経済,文化など都市機能が集積した地域であり,「周辺地域」は,一次産業に従事する人々が多く,中心地域との経済格差があり,失業率が高い地域であるといった,地域の性格を読み取らせるといった授業展開も考えられる。

なおeurostat自体は英文表記であるが,Google翻訳などでサイト全体を翻訳してしまえば,それらの主題図の入手もそれほど難しいことではない。つまりまずこのサイトの「GISCO:Geographical Information and maps」の中のMaps and postersというページにアクセスして,左の選択メニューから任意の地図カテゴリーを選択す。

たとえば「農業」をクリックする。すると以下のような画面に切り替わる。一つ一つの地図は,pdf形式のファイルとしてダウンロードすることが可能である。

3)

なおeurostatでは,こうした地図をWebGISコンテンツ「statical Atlas」でも見ることができる。教室のICT環境が整っていれば,生徒に直接いろんな主題図を提示することが可能となる。

(4)文化的多様性

続いて教科書では,民族文化の中核である言語や宗教の多様性にも気付かせようとの展開になっている。言語や宗教の授業というと,系統的な説明だけに終始しやすいが,ここでもたとえば,360Cities.netというサイトの世界地図というコーナーを活用し,キリスト教三宗派の教会建築のパノラマ写真を提示するなど,「多様性」の視覚的理解を支援する工夫が考えられる。カトリック,プロテスタント,東方正教いったキリスト教三宗派の違いを「可視化」するためのツールとして360Cities.netというサイトの世界地図というコーナーは,有用である。教室のICT環境が許せば,オンライン状態でこのサイト上で三宗派の教会建築を見せられるとよいと考える。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

1)

360Cities.netというサイトの世界地図というコーナーにアクセスするとまず,パソコン画面全面に世界地図が表示される。中にある無数のサムネイルは,世界各地で撮影された360度パノラマ写真のサムネイルである。

 

2)

地図の右上には,施設,地名の「検索タグ」があるのが,たとえばノートルダム寺院を検索する場合,「Notre Dame」という語句を入力して,検索ボタンをクリックし,そのほぼ中央にあるサムネイルをクリックする。するとパノラマ画面が表示される。

3)

生徒には,以下,私が教科書指導書に記したような「それぞれの特徴」に気づかせるように,読み取りをさせるとよい。

カトリック教会の代表としてノートルダム寺院を360Cities.netで見る

カトリック教徒にとって,教会はイエスが作った,「キリストの神秘体」としての神聖な存在である。そのため建築様式は,その神秘性を追求したものになっている。つまり聖堂を,イコン(聖画像),ステンドグラス,壁画などで装飾したものが多い。またカトリック教会の建築様式には,ロマネスク様式と,ゴシック様式がある。ロマネスク様式は古代ローマ様式を基調とした9世紀から12世紀の様式で,石造天井,半円状アーチが特徴である。イタリアのピサの大聖堂がよく知られている。またゴシック様式は,12世紀後半にフランスで生まれた様式で, 高い尖塔と,まっすぐ上に伸びる尖塔アーチなど天上への志向が特徴である。パリのノートルダム大聖堂もこの典型である。

プロテスタント教会の代表としてデブレツェンの教会を360Cities.netで見る

プロテスタント教徒にとって,教会はあくまでも人間が作ったもので,目に見えない信仰でむすばれたものである。したがって建築様式は,あくまでも説教や礼拝,集会のためという実用本位のものになっている。装飾も控え目である。教会の組織運営も,信徒により民主的に行われている。

東方正教の教会代表として救世主ハリストス大聖堂を360Cities.netで見る

東方教会の建築様式の基本は,かつての東ローマ帝国(ビザンチン帝国)の首都・コンスタンティノープルを中心に栄えたビザンツ様式である。大ドームをのせた集中式教会堂建築が特徴である。

(1)狭くなるヨーロッパ
最後,教科書では,一つにまとまろうとするヨーロッパの現在について,「正と負の両面性」を捉えさせる展開になっている。現在,EUでは統合がますます深化し,域内の交通連携,人,物,資本,サービスの自由な移動が実現している。またそれによって各種産業の再編も進み,域内には多くのテックハブ(先端産業集積地域)も出現し,産業界が活性化してきている一面がある。

こうした一つに結集していこうというヨーロッパの「光の部分」を生徒に考察させていく時には.たとえばEUの航空自由化(オープンスカイ)を取り上げ,Flightradar24というサイトの航空機のリアルタイムトラフィックを,オンライン状態で,生徒に見せる工夫も考えられる。

(2)「一つのヨーロッパ」になるには?
また経済格差や外国人労働者との共生の問題など様々な「影の部分」に関しては,2009年の欧州債務危機以降,各国の経済格差の問題が表面化し,EU統合の意義自体を疑問視する意見が増えている「現実」を踏まえ,話し合い,ディベートをさせるなど言語活動アクティビティで生徒に考察させるのが理想である。

たとえば,そもそも「一つのヨーロッパに」というのが,第二次世界大戦でヨーロッパが戦場と化した反省から,域内諸国が平和を希求して生まれた構想であることを生徒に示した上で,「理想」を実現するために,どうすれば諸課題を解決できるのかといった話し合いをグループ討議させるような工夫も考えられる。

また素材がない話し合いは,空中戦になってしまう。たとえば「統合のすすむヨーロッパを示す地図」と,「多様性のヨーロッパを示す地図」の二つを対比して生徒に示した上で,「ヨーロッパの統合はどのようにすすめて行くべきものなのか」といったテーマで生徒に話し合いをもたせるという工夫も考えられる。

 

 

 

 

 

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