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K世界の紐帯「インターネット」を教える
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身近な利用を考えさせる
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グローバルな広がりを実感させる
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グローバルな広がりを客観視させる
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デジタルデバイドの背景
1 身近な利用を考えさせる
インターネットはすでに,生徒達の普段の生活の中にもかなりの程度浸透してきている通信手段である。したがって情報・通信分野の授業でインターネットを扱う際にはまず,「インターネットをどれぐらいの頻度でやってるのか。」とか,「どんな用途で使ってるのか。」といった生徒への投げかけから始めるのが自然である。おそらく生徒からは,「スマホで毎日やってる!」とか,「メールや,勉強の調べ学習などで使ってる!」といった,様々な答えが返ってくるはずである。
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@インターネットはどのように使われているか?
私は,たとえばそうした場面で,総務省が公式サイトで公表する「平成23年通信利用動向調査の別添2」 の資料などの国内資料を示し,生徒にインターネットが「社会的なツール」であるとの基本認識を持たせると良いのではないかと考える。つまり日本では,電子メールの受発信,ホームページ・ブログの閲覧, 商品・サービスの購入・取引などで利用する人が多いことを資料から読み取らせ,そこに自身のネット利用を重ねて考えさせることで,「自分だけでなく,多くの人が様々な用途で使っている」といった現実を確認させると良いと考える。 |
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A実業にも役立つインターネット
なおこうした場面で役立つ素材として,インターネットを通した商品・サービスの購入・取引,つまりEC(イーコマース)の関連で有用な国内統計がある。それは経済産業省の公式サイトから入手できる「平成21年消費者向け電子商取引実態調査の調査結果」というPDFファイルである。そのファイルの中で有用なのは,「第11表都道府県別主要項目表」と「第12表都道府県別消費者向け電子商取引取扱品目表」というシートである。たとえば,これらのデータを加工すると左の表のような資料ができる。表1を見ると,家電販売のジャパネット本社のある長崎県が第1位,服飾販売のセシール本社のある香川県が第3位であり健闘している様子も読み取れる。インターネットが「実業」に役だっていることを確認させる上でも,有用な素材である。 |
2 グローバルな広がりを実感させる
インターネットはまた,世界中の人々を瞬時に繋げる紐帯であり,国際社会へのゲートウェイでもある。このことも授業では是非,生徒に理解させたいことである。この点ではまず,現実に依拠した資料を提示した上で,生徒にそれを「実感」させる必要がある。
(1)ツイッターが世界を繋ぐ
たとえば昨年2011年3月11日が,東日本大震災のニュースが瞬時にインターネットで世界中を駆け巡った。日本の東北地方で多くの人命が失われたことや,日本が地変国家であったという事実,そしてそれらへの様々な反応が世界を駆け巡った。この時, TitterやFacebookなど,インターネットのソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)が果たした役割も大きい。実はTitter検索エンジン「SUMMIZE」の創設者の一人Abdur Chowdhury氏(サンフランシスコ)がサイトで公開している動画は,この時,Titterによってどのように情報が世界に拡散したのかを,動的な流線イメージで可視化している。膨大な地震関連情報が日本から海外に発信されると,間髪いれずに,その情報を海外で受け取った国々から日本や第三国に情報が発信される様子が示されている。動画は2種類あり,「Personal messages」という動画では震災発生直後のTitterによる情報の広がりが,「Spread of information」という動画では震災発生1時間後のTitterによる情報の拡散状況が可視化されている。
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@Personal messages」という動画
動画は2種類あり,まず「Personal messages」という動画では震災発生直後のTitterによる情報の広がりが示されている。
※ここでは第一報が,日本と欧米の間という先進国間を行き交いした点も読み取れる。 |
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A「Spread of information」という動画
「Spread of information」という動画では震災発生1時間後のTitterによる情報の拡散状況が可視化されている。
※さらに時間が経過する中で,「デジタルデバイド(情報格差)」の反映か,南米,アジアと日本との間で情報交流がはじまった点も読み取れる。 |
(2)facebookも世界を繋ぐ
インターネットのグローバルなネットワークを可視化している素材は,facebook関連のものもある。
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@ポール・バトラー氏のネットワーク可視化地図
現在,facebookは8.45億人のユーザーがおり,また126の国において重要度の高いsnsとなっている。実はこのFacebookについても,そのエンジニアリングであるポール·バトラー氏が自分の「友達リスト約1000万人」をもとに作成した「可視化地図」がある。それは左のような地図である。公開されているのは,ReadWriteWebというサイトである。 |
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Afacebook,twitterのネットワークマップの使用上の注意
ただしfacebookも,twitterも,世界のすべての国をカバーするsnsではない点,注意が必要である。たとえばfacebookは確かに利用者が多い。ただし左図(VINCOS BLOGより)のように,facebookが主要なsnsになっていない国も多い。V KontakteとOdnoklassnikiという地元SNSが優勢なロシア,ベトナム,ラトビア, QZoneなどが優勢な中国,国家の検閲によりfacebookの利用が難しいイランなど,例外も多い。 |
3 グローバルな広がりを客観視させる
もちろん生徒には,インターネットの世界への広がりを「客観視」させることも重要である。つまりグローバルスケールの統計を活用して数値的に理解をさせる必要がある。
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(1)
ITUの統計は使えるか?
地理学習の通信分野で教材作成をする際には,インターネットの利用人口統計を活用することが多い。統計資料でよく使われるのは,国連の下部機関である国際電気通信連合(ITU)の統計である。ただしITUの公式サイトの統計は,発展途上国と先進国という二極を軸としたコンセプトでまとめているため,そのため世界のインターネット利用の地域性を具体的に見たい場合には「直接的には」使いづらい存在である。
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(2)
IWSサイトの統計を利用しよう
それに対して,私が有用と考えるのは, Internet World Stats(IWS)という英文サイトである。ここではITU(国際電気通信連合)などの複数の機関から集めた最新統計を,大変分かりやすくグラフ(二次資料)などでまとめている。グラフも英文であるがそれほど難しい内容ではない。ハードコピーしたグラフを,教材資料に貼り付けて生徒に示すだけで,インターネットがアジア,ヨーロッパ,北アメリカを中心に広がっていることを簡単に読み取らせることができる。 |
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(3)Worldmapperの統計地図アニメを活用しよう
またインターネットのアジアへの急速な普及について,生徒に「客観視」させるには,統計地図アニメの活用も有効である。たとえばWorldmapperという英文サイトでは2000年から2007年のインターネット利用人口の変化を示すカルトグラムの変容アニメがある。このアニメをICT機器を介して生徒に見せることで,統計変化を視覚的に理解させることもできる。 |
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(4) Greg's Cable Mapサイトの海底ケーブルマップを活用する@
さらにインターネットのグローバルスケールの広がりを,生徒によりリアルに理解させる上では,情報インフラである海底ケーブルの実態を示すのも有効である。現在稼働中の海底ケーブルの地図は,南アフリカ共和国のGreg Mahlknecht氏が運営するGreg's Cable Mapというサイトで確認できる 。この地図を見れば,生徒達も,海底ケーブルが現在,北太平洋とスエズ運河を重要な結節点とし,ヨーロッパ,北米,アジアなど「経済的に活気のある地域」を繋いでいることを容易に読み取ることができる。意外と,高校地理でインターネットを扱う際には,「主題図」が見つからず四苦八苦する。海底ケーブルは,国際電話やインターネットなど,現在非常に重要になってきている通信手段にはなくてはならない情報インフラである。生徒に読み取らせる資料としても大変有用な資料であると考える。 |
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(4) Greg's Cable Mapサイトの海底ケーブルマップを活用するA
なおこのGreg's Cable MapというサイトからはGoogleEarth形式の地図ファイルを入手することもできる。そこでは現在稼働しているラインと,計画中のラインが確認できる。ファイルの入手については,またメインページの地図の左上にある[ Main Menu | Index | Raw Data | KML ]というツールバーのうち,一番左の「KML」をクリックするだけである。このファイルでは,球面上の世界の中で,立体的に海底ケーブルの分布を考察することも可能なのである。
またメインページの地図の一番左の「Raw Data」をクリックすると,Shape形式の地図が入手できる。このshape形式の地図はESRI社のフリーソフト「ArcGIS Explorer」のメイン画面の上にある「コンテンツの追加」というところで,読み込んで,このブログのような画像を表示させることもできる。またメインページの地図の左上にある[ Main Menu | Index | Raw Data | KML ]というツールバーのうち,一番左の「Raw Data」をクリックすると,Shape形式の地図が入手できる。このshape形式の地図はESRI社のフリーソフト「ArcGIS Explorer」のメイン画面の上にある「コンテンツの追加」というところで,読み込んで画像を表示させることもできる。
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3 デジタルデバイドの背景
デジタルデバイド(情報格差)の大きな要因は,経済力である。それを考えさせるには,先に提示した統計グラフと,一人当たりGDPの図を対比させて読み取らせることで,生徒に理解させることはできるだろう。ただし,現実世界はそれほど単純ではない。ただしそれだけではないと私は考える。つまり経済力が向上し,また近くに海底ケーブルという情報インフラが整備されても,その国の政治・制度を理由に,インターネットによる自由な言論,情報の発信・受信ができない国々も多いからだ。したがって私は,民主化・自由化がデジタルデバイド解消に不可欠なのだということも生徒には示すことが必要であると考える。
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(1)「国境なき記者団」のサイトを活用する
「国境なき記者団」というNGOがある。「言論の自由(または報道の自由)の擁護を目的とした、ジャーナリストによる非政府組織・・・・世界中で拘禁されたジャーナリストの救出、死亡した場合は家族の支援、各国のメディア規制の動きへの監視・警告が主な活動としている。」(Wikipediaより)。その公式サイト(英文サイト)では,2002年より「世界報道の自由ランキング」,2006年より「インターネットの敵」を公表している。
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(2)「国境なき記者団」によるインターネットの敵
2012年の「国境なき記者団」の報告書によれば,「インターネットの敵として挙げられたのは、バーレーン,ベラルーシ,ビルマ,中国,キューバ,イラン,北朝鮮,サウジアラビア,シリア,ウズベキスタン,トルクメニスタン,ベトナムの12か国である。また要注意の監視対象国として挙げられたのは,オーストラリア,バーレーン,ベラルーシ,エジプト,エリトリア,フランス,リビア,マレーシア,ロシア,韓国,スリランカ,タイ,チュニジア,トルコ,アラブ首長国連邦,ベネズエラの16か国である。インターネットの敵の指定の理由は,「アクセス遮断やネットの検閲、ブロガーの投獄による言論の弾圧である。また監視対象国の理由は,「国家的なWebフィルタリングシステムの導入といったネット規制を計画していることなどが理由。フランスは昨年初めて名前が挙がったが、今回も引き続き監視対象国となっている。フィルタリングの推奨や、ジャーナリストへの情報源開示の圧力を強めていることが指摘されている。」(ねとらぼより引用)。
※左の地図は,ねとらぼに掲載された地図であるが,黒がネットの敵、赤が監視対象を示している。デジタルデバイドの敵は「経済だけではない点」を生徒に示す上で有用な素材である。 |
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