1 迅速性の可視化
英国BBC放送の公式サイト(英文)でオンライン視聴できるアニメ「Air Traffic over Britain」では,イギリス上空をスピーディに飛び交う国内線旅客機の一日の動きが「光の軌跡」として再現されている。アニメは,1日24時間の旅客機の実際の動きを1分強の時間に凝縮したものだが,航空機が数百kmもの距離を,一日に何往復もするスピーディな乗り物だという点を視覚的に明らかにしている。
2 リアルタイムの運行状況の可視化
現在,世界の空を飛び交う航空機の位置情報はGPSやADS-B受信機というもので把握されている。そして世界には,それらの位置情報を地図上でライブ中継しているものもある。それらは航空交通が現代世界を結び付けているものだということを,生徒に実感させられる大変有用な素材である。
3 ハブ空港の路線網の可視化
ハブ空港は複雑な世界の航空路線を束ねる重要な存在であるが,授業で扱う際は用語の説明に終始してしまいがちである。しかし欧米サイトでは地球儀ソフトの「GoogleEarth」で作動するkmz形式のものをはじめ,近年ではアニメーションで可視化してくれるものが多数紹介されている。
Google Earth Flight Path Animations II
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アメリカのBarnabuというサイト(英文)では,ハブ空港の路線網を可視化した「Google Earth Flight Path Animations II」というファイルが入手できる。パソコンにあらかじめ地球儀ソフトのGoogleEarthをインストールしておき,その入手ファイルを開く。そして表示された画面左上のタイムスライダで再生ボタンをクリックする。それだけでアメリカ国内の5つのハブ空港から計300本ほどの航路が,一斉に大円を描き各地に伸びていく様子が描写される。生徒への大きな視覚的インパクトとともに,ハブ空港の機能を教える素材として活用できる。 |
Aaron Koblin氏のサイト「Flight Patterns 」
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コンピューターデザイナーのAaron Koblin氏のサイトに,「Flight Patterns 」というページがある。ここでは北米大陸の上空を飛ぶ多くの航空機の航行ルートを視覚化した画像と,アニメーションが示されている。これらは実際の航空路線が「ハブ」という結節点をもっていることを明確にしてくれる素材である。動画は,一日に飛ぶ航空機の移動が時系列で再現され,時間帯による航空交通の利用度の違い,国際線と国内線の利用度の違いを視覚的に確認することができる。またこのページの最下部にある航空ルート図は,すべての飛行機のルート表示だけでなく,CRJ2,B737,B752,A320,B733,E145,A319,B738,CRJ7,MD82といった機種ごとのルート表示も可能である。
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Aaron Koblin氏のページ(Vimeo内のページ)
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Vimeo(ヴィメオ)は2004年(平成16年)11月に開始したYouTube式の動画共有サイトであり,画質のよさで定評があるサイトである。Aaron Koblin氏は,ここでは機種ごとのルート表示が色分けされて示されており,ハブ空港を軸とした航空路線網の成立がさらに読み取りやすくなっている。インターネットが学校でみられる場合は,下の埋め込み動画を直接活用していただきたい。 |
UK and Ireland Flight Map
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アメリカのBarnabuというサイト(英文)では,イギリス・アイルランド,アメリカ,オーストラリア・ニュージーランドについて,空港の路線網を可視化するGoogleEarth形式のファイルも入手できる。パソコンにあらかじめ地球儀ソフトのGoogleEarthをインストールしておき,その入手ファイルを開く。そして各地の空港の位置が,ドットによってのみ示されている地図画像が表示された所で,任意の空港のドット上にマウスを置くと,その空港からの路線がすべて表示される。生徒にパソコンを使わせる事が出来る環境があれば,ハブ空港をさがさせるといったアクティビティも可能である。 |
Flight Maps (USA)
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New Zealand Flight Map
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5 「大圏コース」の可視化 ーGreat Circle Mapperを活用しよう!ー
現実の航空路線は,上空の風や天候,飛行が許可される領空の広がりも考慮されるが,基本的には最短距離となる「大圏コース」に近いものとなる。そのため航空交通による地球上の移動について,生徒に考えさせる場合には,「大圏コース」の活用が有効である。ただし最短距離を示す大圏コースの地図表示は,専用のソフトを使わないと難しい。この点,英文サイトであるが「Great Circle Mapper」が有用である。高校地理では「球面上の世界」の学習でも大圏コースを多用するが,このサイトはその項目の活用でも,非常に有用なサイトである。
1 Great Circle Mapperにアクセス |
現実に世界にある空港の空港コードを入力することで,様々な地図投影法の地図に大圏コースを,その距離を示してくれたり,さまざまなコースを表示させる地図の地図投影法を選択できるなど,有用なツールである。まずはGreat Circle Mapper」からアクセスしてほしい。 |
2 地図形式の選択する |
メインページに下のリンクからアクセスする。すると画面の一番上に世界地図が描写されるが,その地図の下をみると「Map Style(地図の形式)」といった選択メニューがある。「Plain」と「Blue Marble」である。まずはここで地図形式の選択をする。つまり通常のマップ形式にする場合には,「Plain」をクリックし,衛星画像の形式にする場合には「Blue Marble」にする。
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3 世界地図の図法を選択する |
なお地図の右下の設定メニューの「Map Confのタブ」をクリックすると表示される,Map Optionの「style」でも「地図形式」の選択はできる。またここのMap Optionの「Projection(地図投影法)」では,世界地図の図法も選択できる。つまりBest: Rectangular or Polar(もっともお勧めの図法(図法の日本名不明)), Rectangular (Plate Carrée)(正距円筒図法), Polar-Aspect Orthographic(北極点側からみた正射図法), Orthographic(起点からみた正射図法), Azimuthal Equidistant(正距方位図法)といったメニューから選択できる。 |
4 大円コースの線色と線幅を設定する |
また地図の右下の設定メニューの「Map Confのタブ」にある,Path Optionsの「color(色)」と「Width(線幅)」で,大円コースの線色と線幅を設定できる。線色はメニューからの選択で,線幅は半角数字の入力で設定が可能である。設定が終了したら,設定画面の下にある「OK」ボタンをクリックする。すると,自分の設定した線色,線幅の大圏コースが表示される。 |
5 大円コースの距離表示の単位と,飛行機の巡航速度の設定 |
同様に地図の右下の設定メニューの「Dist+Timeのタブ」にある,「Units(距離の単位)」と「Ground Speed and Mach(飛行機の巡航速度)」で,大円コースの距離表示の単位と,その「コースを飛行させたいと自分が仮定したい飛行機」の巡航速度の設定をすることができる。この場合,「Units(距離の単位)」は「km/h」に設定すると日本人には理解しやすくなる。またジェット機が実際に空を飛ぶ時の「巡航速度」は,下のリンクから入れる「ウィキペディア−旅客機」のところにいろいろな機種の巡航速度が表示されているので,そこにある数字を利用するとよい(「ウィキペディア−旅客機」でジェット機の巡航速度を確認する)。なおジェット機も,時代とともに巡航速度の高速化が進んできているので,昔のジェット機の巡航速度と,今のジェット機の巡航速度を入れて見ると面白いかもしれない。現在のジェット機は時速900km弱のものが多いようだが,私の場合には860km/hの設定をしている。そして設定が終了したら,設定画面の下にある「OK」ボタンをクリックする。すると,地図の下の「Distaces」という所の「Distace」に大圏コースの距離,また「Time」に自分が設定した巡航速度で飛行機が大圏コースを飛んだ場合の飛行時間が表示される。 |
6 空港コードの確認 |
そして以上のような大圏コースのラインについての設定が終了したら,最後に(最初でもよいが・・・),大圏コースの始点と終点の設定を行う必要がある。この場合の始点と終点については,世界にある実際の国際空港の空港コードを設定することになつているが,空港コードについては,メイン画面の上にある検索スペースに,英字で都市名か空港名を入れ,そのボタンをクリックすると調べることができる。たとえば「narita」と入力して,下のsearchボタンをクリックする。するとすぐに検索結果が表示されるが,そこの「IATA」の下にある「NRT」が空港コードである。同様にケープタウンをcapetownnで調べると,「CPT」との空港コードが確認できる。
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7 大圏コースの始点と終点の設定 |
始点にするポイントの空港コードが確認できたら,続いて,メインページの左下にある「Map Controls」のところに,「始点の空港コード-終点の空港コード」を入力する。成田-ケープタウンだったら「NRT-CPT」と入力する。そして,下の「OK」ボタンをクリックする。 |
8 大圏コースの描写 |
するとメインページの地図に,大圏コースが表示される。 |
9 始点と終点の表示を変更 |
さらに始点と終点の表示を変更する場合,地図の右下の設定メニューの「Markersのタブ」で設定できる。 |
10 始点と終点の表示を,「都市名」に変更 |
「Markersのタブ」のメニューで「diamond+city name」を設定すると,地図中の始点と終点の表示が,このブログの地図のように都市名に変更される。以上の手順を踏んでいくと,任意の都市と都市の間の大圏コースが表示できる。
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