A地形の基本図を自作する |
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1 MANDARAで等高線地図の原図を作成する地理学習や地域調査などの際には,等高線地図をベースマップとして主題図を作成することが多い。私の場合,等高線地図を作成する場合,地形図をスキャナーでとったものや,カシミールの地形図をbmp形式で保存したものを下絵として,Illustratorで等高線部分を直接トレースしてそのような地形図を作ることが多い。この方法は,湖や河川などの水系をもらすことなく,等高線地図をつくることができる長所がある。しかしとにかく時間がものすごくかかってしまうという欠点がある。その一方でGISソフトのMANDARAを使って短時間で等高線地図を作ってしまう方法がある。以下の所で,その方法を具体的に示したい。(1)MANDARAによる原図作成@まず最初に必要なのはGISソフト「MANDARA」のパソコンへのインストールである。MANDARAは埼玉大学教育学部の谷謙二先生が開発された定番のGISソフトであるが,ここのページからソフトがフリーダウンロードできる。はじめてダウンロードされる方は,フルダウンロード版をダウンロードするとよい。ダウンロードしたものを解凍してインストールするのは大変たやすい作業である。A次に必要なのは,国土地理院刊行の「数値地図50mメッシュ(標高)」のCD-Rである(定価7,500円)。日本地図センターでネット販売しているものを購入してもよいし,近隣に地図専門店があれば,そこでも入手できる。B以上の準備が終わったら,MANDARAを起動させるが,起動した時に最初に表示されるウィンドウの操作選択で,マップエディタを選択し,下のOKボタンをクリックする。すると「マップエディタ」の作業画面が表示される。C「マップエディタ」の作業画面が表示されたら,パソコンに「数値地図50mメッシュ(標高)(CD-R)」を入れる。Dそうしたら「マップエディタ」の上のツールバーの所にある「地図データ取得(M)」をクリックし,さらに→@「標高データから等高線取得(M)」→A「等高線取得(C)」とクリックを進め,B「数値地図標高メッシュ読み」のウィンドウを表示させる。E続いて「数値地図標高メッシュ読み」のウィンドウの左下にある「取得範囲設定」というボタンをクリックして,「メッシュ指定」というウィンドウを開く。そしてその上の「拡大」ボタンを使って,自分が等高線地図を作りたいエリアを拡大表示させる。F拡大表示された地図にはメッシュがかかっているが,自分が等高線地図を作りたいエリア指定するには,その該当するメッシュの所で,マウスを左クリックしてゆけばよい。指定が終わったら,ウィンドウ下の「OK」ボタンをクリックする。すると「メッシュ指定」のウィンドウが消える。G 続いて必要なのは,「数値地図標高メッシュ読み込み」ウィンドウの右下にある「取得等高線(m)」に,自分が示したい等高線の数値を半角数字で入力する作業である。100mおきに等高線を描写したい場合は0,100,200,300,400,500・・・・・と入力する。ただし一つ数字を入力したら,その都度「追加」ボタンをクリックする。なお数字の上限をどうするのかは,あらかじめ地図のエリアで一番高い山の標高などを確認して,決めておくとよい。H 以上の作業が完了したら,「数値地図標高メッシュ読み込み」ウィンドウの一番下にある「ファイル変換」ボタンをクリックする。するとしばらくして等高線地図の原図が表示される。たとえば「三宅島」のエリアを指定して,この作業を行った場合,下のような地図が表示される。I ただし「少し広い範囲」を取得範囲に設定した場合,下のような画面になる。つまり一見して,何も表示されていない状態となっている。しかしこの状態でも,諦める必要はない。つまりまず方位記号のあたりを,根気よく,マウスのスクロール機能で拡大させていくと,方位記号の近くに何か「点」のようなものが現われてくる。 そしてさらにこれを拡大させていく。すると下のCのように等高線地図が表示される(下の地図は前橋周辺のものである)。ABCJそして等高線地図の「存在」が確認できたら,今度は,等高線以外の情報を非表示にする。つまり下のように「編集対象の選択」の「形態」のところのチェックをすべてはずす。Kさらにそれができたら,「名前を付けて地図ファイルを保存」して,マップエディタのウィンドウを閉じる。LそしてさらにMANDARAの「ファイル」→「白地図・初期属性データ表示」をクリックする。 地図ファイル」の所に,作った地図ファイルの名前を入れ,「OKボタン」をクリックする。Mそして「地図ファイル」の所に,作った地図ファイルの名前を入れ,「OKボタン」をクリックする。Nすると等高線地図が表示されるが,実はここでも肉眼レベルではみられないため,また「点」を探して拡大させていく。そして肉眼できるサイズになったら,「編集」→「コピー」で地図をコピーする。 このコピーした地図は,WORD文書などに直接貼り付けて使うことができるので,そのまま活用してもよい。2 Illustratorによる二次加工@ただこの地図を原図として,さらに精緻な図に仕上げるためには,IllUSTRATORの助けが必要である。つまりその仕上げをする場合,さらにMANDARA画面を表示させたまま,Illustratorを起動させる。AそしてIllustratorの新規ファイルを開き,そこに「編集」→「ペースト」で地図をはりつける。すると下のようになる。Bそして続いて今度は,ペーストした地図の全体を選択して,「右クリック」→「グループ解除」する。さらにまた同様に全体を選択し,「右クリック」→「クリッピングマスクを解除」する。Cそしてそれが終わったら,等高線の全てを選択して,線幅を設定する。繊細な感じの地図にする場合,メインになる等高線は0.1から0.25ぐらいがいいようである。Dまた地図を拡大させたときに,下の様なデジタル地図特有のジグザグが気になる場合,さらにひと手間が必要になる。Eつまり,等高線全体を選択して,Illustratorの「フィルタ」→「角を丸くする」の機能を使う。すると多少,なめらかな曲線になる。Fあとは標高を表す数字を100m間隔など等間隔で入れないといけないが,Illustrator上の地図にはその数値情報が抜け落ちている。そこで,またMANDARAのマップエディタで地図を表示させ(拡大させ),「編集対象選択」のチェックを入れて,等高線の数値を確認していく。G確認できたら,イラストレーター上で標高を記載した等高線のところだけ,やや太めの線幅にして強調してやる。すると見やすい地図になる。Hもちろん方位記号も入れなくてはいけない。またスケール情報が抜けている場合には,実際の地形図をみて距離をはかり「スケール」を自作する必要がある。I以上のような流れで作図していただければ,なんとかこの様な図が仕上がる。もしだめだったらご相談ください。3 Geomap appで3Dマップ@GeoMapAppは,Javaというプログラミング言語でつくられた世界の地形データベースを活用して,様々な地形解析を行うオンラインソフトである。コロンビア大学のラモント・ドーアティ地球観測所で開発されたものである。まずGeoMapAppの無料ダウンロードからダウンロード(無料)したGeoMapAppをパソコンにインストールし,ソフトを起動する。そしてスタートアップでメルカトル図法による3つのベースマップの中からいずれかを選択する。そのあとの活用については,メニュー画面が複雑であり,英文のため,正直いって煩雑さがある。しかしGeoMapAppの基本的なツールの活用については,GeoMapAppの基本的活用法の説明ビデオ(英語Flash)にある活用法の説明ビデオ(Multimedia Tutorials)がかなり参考になる。まずビデオの一覧をYahoo翻訳などの機能で日本語化して,自分の気になるビデオのボタンをクリックする。するとビデオの音声は英語であるが,動画だけみていてもどのように使えばよいのかなんとなく理解できる。AGeoMapAppでは「3Dマップの作図」もできる。まず起動させて世界地図を表示させた所で,上のツールバーの拡大機能を使って,自分が3D地図を作りたいエリアを拡大表示させる。拡大表示されたら,さらにツールバーの上にある「Show/Hide Grid Dialog」をクリックして「Global Grid」のウィンドウを表示させる。Bそしてさらに「Global Grids」が表示されたら,その右上の「3D」ボタンをクリックする。そしてのウィンドウの左下にある「Render as an image」をクリックすると「Perspective image」というより高精度なイメージ画像が表示される。CGlobal Gridsのウィンドウの画像左にあるアイコンで,画像を回転,傾斜角の調整,拡大をして,「Render as an image」のボタンを押すと,「perspective image」というウィンドウが開き,そこに調整後の3D画像が表示される。D「perspective image」の中の3D画像は,そのウィンドウの左上にある「Save Image」をクリックするとJPG形式のファイルとして保存ができる。ここに表示しているのは,このようにして作成した画像である。榛名山と赤城山の間に展開している前橋の扇状地の様子を見たいと考え,試しに作図したものであるが,こうしたGeomapAppでは,3Dマップが非常に短時間で作図できる。4 Geomap appで断面図@GeoMapAppの機能の中で,高校地理への活用が考えられるのは,断面図の作成機能である。このGeoMapAppの「distance/profile tool」は,任意の経緯度の2地点間のかなり精度の高い断面図が作図できるツールである。使用方法もいたって単純である。まずはGeoMapAppの無料ダウンロードでソフトをインストールして,それをパソコンにダウンロードする。
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